コヨーテのはなし(リー・ペック作、ヴァージニア・リー・バートン絵、安藤紀子訳)

もともと長崎出版で一部のお話が出版されていたのを、すべて翻訳して徳間書店から再出版したという形のようです。

もともとは1942年に出版された本ということもあり、挿絵(ちいさなおうちのイラストレーターの方)が昔懐かしい感じで、色使いもノスタルジックでいつまでも眺めていられそう。

アメリカ先住民にとっては、日本人にとってのキツネやたぬきのような、賢くてとんちのきいた動物がコヨーテ。ときには心やさしく、ときにはずる賢く、人間や動物をケムに巻いてしまうコヨーテの描写が魅力的です。

こうして毛の色に黒が混じりましたとか、こうしてオポッサムのしっぽはなくなりましたとか、色々なことを説明するために物語というのは生まれたのだなあということを感じられて楽しいです。

子どもにとっては昔話のようにすらすらと読めて、それでいて不思議な動物や植物に「なにこれ?」と興味を持ち、色々と調べるきっかけにもなるのではないかなと思いました。