ひとりひとりのやさしさ(ジャクリーン・ウッドソン 作、E.B.ルイス 絵、さくまゆみこ 訳)

 

 ジャクリーン・ウッドソンの絵本、2冊持っています。

 まだ子どもには早いのですが、わかるようになったらぜひ読んでもらいたいと思って。『ひとりひとりのやさしさ』は学校に転校してきた、ちょっとかわった女の子を、別の女の子の視点から描いた物語。

ひとりひとりのやさしさ

ひとりひとりのやさしさ

 

 マヤという転校生の女の子は、他の子とはどこか違います。格好がみすぼらしいし、持っているおもちゃもボロボロのものばかり。

 主人公のクローイは、マヤのことを「変」だと思って、笑いかけられても返事もしません。そっぽを向いてしまいます。そのあとも、お友だちと一緒になってマヤのことをからかったり、馬鹿にしたり。

 ところが、ある日マヤは学校にこなくなって……。

 「やさしさ」ってなんだろう。子どもだって頭ではわかっていても、なかなか行動に移せないときがあると思います。異質なものは排除しようとすることが、大人の世界ですらこんなにまかりとおっているのだから、子どもの世界で起きているのも当然です。

 でも、小さな心がけでまわりの人の気持ちを軽くすることができる。笑顔のきっかけになることができる。

 自分が小さいころにしてしまった、やさしくない行為を思い返して、胸がしめつけられるような気持ちになった絵本でした。

 ウッドソンの絵本はそういうものが多くて、子どもには、多感な時期にぜひ読んでほしいと思っています。