人とちがうあなたのままで大丈夫だと教えてくれる、『失敗図鑑』(大野正人 作)

 たしかKindle Unlimitedで目に入り、読んだ本です。子ども向けのノンフィクションで、本屋さんではどの辺に並んでいるんだろうとふと気になりました。伝記かな?  

 装丁の鮮やかな黄色も目を引きますし、いろんなひとが「アチャ〜」となっているイラストも楽しいですよね。

失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!

失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!

 

  色々な分野で世界を変えた偉人たち。でもその成功のかげにはいくつもの失敗があり、うまくいかなかったことやダメダメな部分が隠れているんだよ、と教えてくれる、「ちっとも道徳的ではない(ところがいい!)」ノンフィクションです。

 登場するのは夏目漱石ドストエフスキーピカソなどなど、多種多様。「成功したこと」ではなく「ダメダメだったところ」に焦点をあてているのが面白く、子どもはゲラゲラ笑いながら読み進めることができそうです。

 たとえば、過去の成功にしがみつき、現実を見つめることができなかったライト兄弟

 自国のフランスでは「イケてない」と言われたけれど、活躍の場をアメリカに移すことで認められ、有名デザイナーとなったココ・シャネル。狭い世界で過ごすのではなく、相手にする世界をどんどん広げてみましょう、その場所が見つかるまであきらめないで、というメッセージが記されています。

 現代の子がよく知っているかもしれないスティーブ・ジョブスのお話も。自分の失敗で会社を失ってしまっても、嘆いてばかりいるのではなく新しい居場所を作る(ジョブスはピクサーを作りました)ことがさらなるアイデアにつながったと書かれています。

 偉人とされている人にだって弱みはあったし、落ち込むことだってあった。ばかにされることもあったし、理解してもらえないことだってあった。そういう側面は、普通の伝記を読んでいるだけではなかなか見えてこないですから、より偉人たちを身近に感じることができそうです。「型にはまる必要なんてない!」とはげまされるのではないでしょうか。

 ここから興味を持った人を調べてみたり、その人が作りあげた作品を手に取ってみたりと、好奇心の源となりそうな本だと感じました。