ねこと王さま(ニック・シャラット 作、市田泉 訳)
かっわいい! ちょっとおとぼけ風味なイラストが目を引く作品です。表紙だけではなく、中にもイラストがたくさん(ほとんどすべてのページにイラスト入り)。ほのぼのした感じが作品の持ち味をよく表していると思います。目も口も「ちょんちょん」のシンプルな顔なのに、表情豊かでユーモラス。
こちらは読書感想文全国コンクールの課題図書にも選ばれていたお話です(小学校中学年の部)。
めしつかいがたくさんいて、自分では指一つ動かす必要のなかった王さま。ところがある日、お城にドラゴンがやってきて、お城をもやしてしまいます。めしつかいはこれにうんざりして、全員出て行ってしまい、残ったのは王さまと、友だちのねこだけ。住むところがなくなった王さまは「おしろ横丁」に建っている普通の家に引っ越すことを決めます。ねこは人間の言葉はしゃべれませんが、とてもかしこくて王さまの引っ越しを手伝ったり、一緒に買い物に行ったりと大活躍。
自分では何もしたことがないから、最初はとまどってばかりの王さまでしたが、徐々に知り合いができたり、新しいことに挑戦したりと、変わっていく様子が描かれています。自分のことを「余」と呼んで、仰々しいことばかりするので笑っちゃうのですが、最後はほろり。
そして巻末についているレシピで、おやつを作りたくなること間違いなしです!