図書館にいたユニコーン(マイケル・モーパーゴ 作、おびかゆうこ 訳、ゲーリー・プライズ 絵)

 またまた、モーパーゴです。そういえば、こんな戦争の話もあったな、あんなのもあったなと思い出して、色々再読していました。

 こちらは「本」や「図書館」が出てくるので、特にお気に入りの一冊。

図書館にいたユニコーン (児童書)

図書館にいたユニコーン (児童書)

 

 小学校低学年向けで、文字も大きく読みやすいです。

 色鉛筆のイラスト(白黒)はとてもシンプルなのに、最初のページから「ここではない、異国」らしさを漂わせていて、どんなところだろう? 行ってみたい! と思わせます。

 小さな村で暮らしている「ぼく」はある日、母さんが用事を済ませる間、図書館で待っていることになります。図書館なんてつまんない、お話なんてたくさん、と思っていた「ぼく」ですが、図書館の中にあるユニコーンの置き物に目を奪われ、「ユニコーン先生」と子どもたちから呼ばれて親しまれている新しい司書さんが読み聞かせるユニコーンの物語のとりこになります。このシーン、イラストが幻想的ですてきです。

 しかし、村は戦争に巻き込まれることになります。「ぼく」は村のひとやユニコーン先生といっしょに、本を救おうとするのですが……。

 モーパーゴらしく戦争が描かれていますが、もう少し低学年向けということもあり、それほど踏み込んだ描写はありません。ユニコーンというモチーフが効果的に使用されていて、ストーリーテリングに感動します。

 

  ユニコーンの置き物は「お父さんが作ってくれたもの」とユニコーン先生が話すシーンがあるのですが、そこでふと『フラミンゴ・ボーイ』を思い出しました。こちらにはメリーゴーランドの乗り物(動物たち)を作るお父さんが登場していたからです。

フラミンゴボーイ (児童単行本)

フラミンゴボーイ (児童単行本)